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お知らせファミリーヒストリーの調べ方』

 【家伝記作成編】
 9章  兵籍簿を取り寄せる−戦争体験を残す一級史料



 家系図ができあがると、次はいよいよ家伝記を作成する段階に入ります。

 家伝記とは、家系図に記載されている各先祖の簡単なプロフィールやエピソード、さらに、家紋、家宝など、家に伝わる様々な伝承をまとめたものです。

 その作成法は様々だと思いますが(追々解説していきたいと思います)、なにはともあれ、まずはやっておきたいことがあります。それは「兵籍簿」(の写し)の取得です。

 兵籍簿とは、いわば、軍人としての戸籍です。戦前・戦中に徴兵されて戦争に行った経験を持つ祖先を持つ方は少なくないでしょう。その方がいつからいつまで、どこの部隊に所属し、どのような作戦に従事したのか(どこにいたのか)が記されています。

 これを現在、陸軍のものは都道府県が、海軍については厚生労働省が保管。直系の子孫であれば、閲覧、取得することができます。

 NHKの「ファミリーヒストリー」の中でもよく、ゲストの父または祖父の軍隊時代の足跡が新たに判明した、といった形で放送されていますが、これはもっぱら兵籍簿に基づくものと思われます。

 ただ、これは役所がNHKの取材だからといって特別な便宜を図っているのではなく、所定の条件を満たせば、誰でも請求できるものなのです。

 私の場合、祖父は「戦争で中国に行った」と叔母たちから聞いたのですが、具体的にいつ、どこの師団に所属して、何をやっていたのかと聞いても、叔母たちも「詳しい話はわからない」といった風でした。戦後70年経って戦争の記憶が薄れる中、大方のご家庭ではこのような感じではないでしょうか?。

 ところが、実際に岩手県庁から兵籍簿を取得してみると、想像以上に詳細な記録であることにまず驚かされました。いつどこの部隊に入隊したかはもちろん、各地をどう転戦したかまで記載されています。

 中には、何月何日から何日までどこそこの野戦病院に入院した、とまで書かれていて、こちらが「本当かな?」と思ってしまったほどです。

 結局、兵籍簿からわかった事実は、親族が「戦争で中国に行った」と言っていたのは、太平洋戦争ではなく、その前に起きた日中戦争だったこと。

 さらに具体的には、昭和12年8月に弘前を拠点とする陸軍の歩兵第52連隊に入隊し、その後、北京で北支方面軍の管轄となって、中国北部を転戦したこと、でした(ここでは記しませんが、具体的に中国のローカルな地名がたくさん出てきます)。

 ただ「戦争で中国に行った」と言われても、あまりピンと来ませんが、これだけわかってくると、かなり話に現実味かつ重みが増します。

 家伝書に戦争体験は欠かせません。それを書くためには、兵籍簿が重要な史料となるのです。

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  ◆『ファミリーヒストリーの調べ方』 目次

   はじめに ファミリーヒストリー調査はここまでと割り切ればそれほど難しくない
   1章   ファミリーヒストリーとは何か
   2章   どこで割り切るか−目標の設定
  【家系図作成編】
   3章   戸籍を取る
   4章   墓碑銘を調べる
   5章   同時に戒名を記録しておく
   6章   代行業者に委託する際のポイント(上)
   7章   代行業者に委託する際のポイント(中)
   8章   代行業者に委託する際のポイント(下)
  【家伝記作成編】
   9章   兵籍簿を取り寄せる−戦争体験を残す一級史料
   10章   軍歴照会の方法
   11章   所属部隊の情報を調べる
   12章   親族にヒアリングする際のコツ
   13章   街は家族の生活の舞台、その成り立ちを知る
   14章   家伝記はデジタルデータで作ろう
   15章   目次を考えて、実際に書いてみよう
  【家訓作成編】
   16章   家訓はそもそも必要か(1)
        家訓はそもそも必要か(2)
        家訓はそもそも必要か(3)
        家訓はそもそも必要か(4)
   17章   時代とともに変わる家訓(1)

  【ファミリーヒストリーづくりに役立つ本】
        家訓編一覧

  【調べてみたらこうなった−家族史づくりの意外な効果編】
   その1   歴史が妙に身近に思えてくる(前)
        歴史が妙に身近に思えてくる(後)
   その2   多様な歴史観を持てるようになる(上)
        多様な歴史観を持てるようになる(中)
        多様な歴史観を持てるようになる(下)


   以降随時追加更新