本文へスキップ

お知らせファミリーヒストリーの調べ方』

 【家系図作成編】
 5章  同時に戒名を記録しておく



 家系図作成とは直接関係ないものの、墓碑銘から得られる重要情報に、戒名があります。戒名は故人を知る上で貴重な情報となるので、これも調査の過程でしっかり記録しておくことをおすすめします。

 戒名の読み方さえ知っていれば、たとえ生前の面識、あるいは親族間の伝承がなくとも、ある程度は故人の性格を類推することができます。家伝記を書く際には重宝するので、ここで説明しておきましょう。

 戒名と一口に言っても、実は原則4つの要素から成り立っています(ただし、細かな点は宗派により異なる)。


  (広義の)戒名=(院号)+道号+(狭義の)戒名+位号


 これを具体例にあてはめてみます。


 文献院古道漱石居士


 これは明治の文豪、夏目漱石の戒名です。院号が「文献院」、道号が「古道」、狭義の戒名が「漱石」、位号が「居士」となります。

 このうち院号は人により、付かないことも多いです。また、狭義の戒名には生前の名前(俗名)の一字を入れたりします。位号は、(大)居士、(清)大姉、あるいは信士、信女、などがあります。

 このほか宗派ごとの特徴があって、浄土宗は「誉」、浄土真宗は「釈」という字を入れる、などがあります。

 日蓮宗の場合は、そもそも戒名とは言わず、法号といいます。また、道号部分に男性なら「法」、女性なら「妙」が入ることが多いです。狭義の戒名の部分を日号といい、宗祖、日蓮の教えを受け継ぐという意味から「日」の字を入れる習慣があります。

 では、戒名からどのように生前の故人を想像していくのか、具体例をもとに考えていきましょう。


 芳蓮院妙優日雅大姉


 これは日蓮宗の基本様式に基づく、ある著名人の戒名(日蓮宗なので法号)です。

 まず、道号の部分を見てください。「妙」が入っているので女性ということになります。戒名から故人の人となりをつかむには、このような各宗派で定型的に使われる文字を除いて、その人(戒名)ならではの文字から想像していくことになります。

 とすると、この場合、「芳」「蓮」「優」「雅」の四字から想像していくことになります。実は、この方は女優さんです。なので、「優」の字が入っているのでしょう。優しい性格という意味でもあると思います。「雅」は生前の俗名からなので、雅子さんかな、と連想できますね。

 とここまでヒントがあれば、もうおわかりでしょう。夏目雅子さんです。

 この戒名は、なかなか練られているなと思います。雅子さんの名前の一字「雅」を使いつつ、前に「優」を入れることで、「優雅」(=しとやかで気品があるさま)と読むことができるし、また、女優という職業も連想させるし、「優しい」という性格を表すこともできます。

 さらに、「蓮」というのは、実は夏の季語なので、これもさりげなく夏目さんを連想させるものとなっています。

 このように戒名は、直接会ったことのない遠い昔の先祖の人となりを推し量る上で意味があって、後々、ファミリーヒストリーを記す際には、大変貴重な情報となります。墓碑銘を調査する際にはしっかり記録しておきましょう。

前のページ 次のページ


  スポンサーリンク
 


  ◆『ファミリーヒストリーの調べ方』 目次

   はじめに ファミリーヒストリー調査はここまでと割り切ればそれほど難しくない
   1章   ファミリーヒストリーとは何か
   2章   どこで割り切るか−目標の設定
  【家系図作成編】
   3章   戸籍を取る
   4章   墓碑銘を調べる
   5章   同時に戒名を記録しておく
   6章   代行業者に委託する際のポイント(上)
   7章   代行業者に委託する際のポイント(中)
   8章   代行業者に委託する際のポイント(下)
  【家伝記作成編】
   9章   兵籍簿を取り寄せる−戦争体験を残す一級史料
   10章   軍歴照会の方法
   11章   所属部隊の情報を調べる
   12章   親族にヒアリングする際のコツ
   13章   街は家族の生活の舞台、その成り立ちを知る
   14章   家伝記はデジタルデータで作ろう
   15章   目次を考えて、実際に書いてみよう
  【家訓作成編】
   16章   家訓はそもそも必要か(1)
        家訓はそもそも必要か(2)
        家訓はそもそも必要か(3)
        家訓はそもそも必要か(4)
   17章   時代とともに変わる家訓(1)

  【ファミリーヒストリーづくりに役立つ本】
        家訓編一覧

  【調べてみたらこうなった−家族史づくりの意外な効果編】
   その1   歴史が妙に身近に思えてくる(前)
        歴史が妙に身近に思えてくる(後)
   その2   多様な歴史観を持てるようになる(上)
        多様な歴史観を持てるようになる(中)
        多様な歴史観を持てるようになる(下)


   以降随時追加更新