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お知らせファミリーヒストリーの調べ方』

 【家伝記作成編】
 13章  街は家族の生活の舞台、その成り立ちを知る



 より深い内容の家伝記とするには、前章で触れた親族へのヒアリングはもちろんですが、その時代に社会全体で何が起きていたのか、背景について知っておく必要があります。その背景と家族内で起きた出来事をすりあわせていくことで、さらに生き生きとした家伝記を書くことができます。

 あるいは古い先祖については、個人的な伝承がほとんど残っていないということもあるかと思います。その場合、せめて先祖が生きた当時の街の雰囲気だけでも伝える努力をするという考え方もあります。

 具体的に考えていきましょう。 江戸時代の街には、城下町、宿場町、門前町、港町、農村などそれぞれ明確な特徴がありました。それが明治維新を経て、開拓地を加え、どう変貌していったか。言い換えると、どのような影響を受けたのかと考えると、それぞれの歩み方は違っています。

 一口に城下町と言っても、維新後、県庁所在地になったか否かで、その後の盛衰は違っています。そのまま県庁所在地になれば、武士が公務員に変わっただけで、さほど影響は出なかったでしょう。

 ところが、そうでない場合、そもそも城(行政機能)があったからこそできたような街もあります。急速に廃れたというようなこともあったと思います。

 宿場町や港町(特に商業港)については、その後の交通網がどう変化したか次第で、やはり盛衰が分かれました。宿場町は明治の中頃から鉄道網が全国的に敷かれていったことで、変貌を余儀なくされたようです。

 私の母方の曽祖父の兄は、奥州街道沿いの宿場町で宿屋を営んでいましたが、明治の末に札幌へと渡り、そこで新たに旅館を始めています。

 なぜだろうと思って、戦前の町史をひもとくと、東北本線の開通により、人の流れが変わって、商業的に大きく衰退したと記述されているので、鉄道開通の影響をもろに受けて、札幌への移転を決断したんだろうということが見えてきます。

 港町でも、宿場町と状況は似ています。「北前船」とは皆さん、聞いたことがあると思いますが、江戸時代は、帆掛け船が港から港へと点々と巡り、旅客や物資を運んでいました。

 北前船とはこのうちの西回り航路を通る船のことで、北海道から日本海沿岸各港を巡り、関門海峡から瀬戸内海を経由、最後は大阪まで物資を運んでいました(季節により逆航路も)。これに対して、東回り航路というのもあって、東北から三陸など太平洋側各港を廻り、江戸へと物資などを運びました。

 これら廻船の寄港地だった商業港では、その廻船を相手にした問屋などがあって、繁盛したと言います。

 ところが維新後、蒸気船の登場や鉄道網の普及で、廻船は消滅してしまいました。とともに、港町の中でも盛衰が出てきます。中核となる港町は栄えましたが、途中の小さな港町はその存在意義を失って廃れました。

 こうした街の性格からくる維新後の栄枯盛衰は、地域経済に大きく影響を及ぼします。当然、そこで暮らしていた先祖の暮らしもそれ次第で、変わっていったはずです。

 そのあたりを意識しながら、ご先祖が暮らしていた街がどのような性格の街で、どう変化していったのか、調べられることをお勧めします。

【関連サイト】
 東海道の宿場町を歩く Japan Highlights Travel のHPより。江戸時代の宿場町の様子がわかる
 北前船 北海道江差町公式HPより。江戸時代から明治時代まで北前船で栄えた町の様子を伝える

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  ◆『ファミリーヒストリーの調べ方』 目次

   はじめに ファミリーヒストリー調査はここまでと割り切ればそれほど難しくない
   1章   ファミリーヒストリーとは何か
   2章   どこで割り切るか−目標の設定
  【家系図作成編】
   3章   戸籍を取る
   4章   墓碑銘を調べる
   5章   同時に戒名を記録しておく
   6章   代行業者に委託する際のポイント(上)
   7章   代行業者に委託する際のポイント(中)
   8章   代行業者に委託する際のポイント(下)
  【家伝記作成編】
   9章   兵籍簿を取り寄せる−戦争体験を残す一級史料
   10章   軍歴照会の方法
   11章   所属部隊の情報を調べる
   12章   親族にヒアリングする際のコツ
   13章    街は家族の生活の舞台、その成り立ちを知る
   14章   家伝記はデジタルデータで作ろう
   15章   目次を考えて、実際に書いてみよう
  【家訓作成編】
   16章   家訓はそもそも必要か(1)
        家訓はそもそも必要か(2)
        家訓はそもそも必要か(3)
        家訓はそもそも必要か(4)
   17章   時代とともに変わる家訓(1)

  【ファミリーヒストリーづくりに役立つ本】
        家訓編一覧

  【調べてみたらこうなった−家族史づくりの意外な効果編】
   その1   歴史が妙に身近に思えてくる(前)
        歴史が妙に身近に思えてくる(後)
   その2   多様な歴史観を持てるようになる(上)
        多様な歴史観を持てるようになる(中)
        多様な歴史観を持てるようになる(下)

   以降随時追加更新